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「長持ち」について

治療した歯が「長持ちする」ことが
いい歯医者さんの条件であるかのように
考えがちですが

必ずしもそうではありません。
理由は二つあります。

一つ目の理由として
「長持ちする」ことだけを重視すると
状況がよくない歯、治療してもあとどれだけ持つか
わからないような歯は
安全のために、抜歯することになります。

後でトラブルが起きたときに
「長持ちしなかった」という評価になるためです。

二つ目の理由として
「長持ちする」ことだけを重視すると
治療装置の頑丈さを重視することになります。

頑丈に作るためには
厚みを確保する必要があります。
厚みを確保するためには
歯を削る量が多くなります。

また頑丈に作るためには
弱い歯同士をつなげてかぶせたりします。
つまり削る本数も多くなります。

そして使う材質も
頑丈なものを使うことになり

そうやって、とにかく頑丈なブリッジなどの治療をすれば
とりあえず長持ちはするでしょう。

しかし、歯は上と下で噛みあっています。

ものすごく頑丈な治療は
噛みあう歯が壊れることがあります。

入れたばかりのクラウンやブリッジが
すぐ壊れてしまったら
歯科医は責任を問われると思いますが

では噛みあっている反対側の歯が壊れたらどうでしょうか

アメリカなど訴訟の多い国では
とにかく抜きたがる傾向があります。
そしてインプラントを入れて
そこに頑丈な材料で歯をかぶせる

頑丈なインプラントに
頑丈なクラウン
そうすれば、壊れることはまずありません

そこで噛みあう天然の歯が壊れても
因果関係の証明は困難です

抜歯されてインプラントになるような歯と
長年噛みあっていた歯ですから
もともと内部に亀裂などダメージがあったかもしれない
という話になります


ここでもう一つ
話は複雑になりますが
別の因子を考慮する必要があります。

それは、それぞれの患者さんの
お金に対する価値観です。

例えば何十万円の治療だったら
とにかく後でダメにならないように
無理そうな歯は抜いて
周りの歯に拡大してもいいから
とにかくしっかりした頑丈な歯を入れてくれ、と
言われることもあれば

何十万円くらいだったら
もしダメになればその時はまた考えるので
だめかもしれない歯もトライして残してほしい
必要以上に治療装置を拡大しないでほしい、
頑丈すぎる構造体でなく、周りに負担の少ない、
違和感の少ない形態にしてほしいと
言われることもあるわけです。

どちらの場合もあるし
そしてその中間もあります

私たちは治療計画や金額の説明をするときに
その方の反応や雰囲気を見させていただいています。

反応を見てもわからないときは
あえてお聞きすることもあります。

お金の価値は変わらなくても
お金に対する価値観は人によって全く違うからです

その方の歯科に対する評価も
治療する中で、変わっていったりもします

そのような動的な関係性の中で
ミスマッチした治療を提供しないようにするのも
必要なサービスなのだと思っています。




 
2023年04月29日 22:39

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